73 障害年金 双極性障害(障害等級)

 今回は双極性障害で傷害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 本件では技術的側面を見ていこうと思います。こういう事例を考えるのは面白いのですが現実に役に立つのかというとあまり役に立つことはないのではないでしょうか。

 まず審査対象は保険者の出した処分の適法性・妥当性です。とすると処分のないものには不服申立てはできません。本件では障害認定日請求に事後重症請求を予備的に併合した事例で裁定請求では主位請求棄却、事後重症請求3級認定され、再審査請求の際に主位請求2級に処分変更、請求日3級に額改定されています。

 本件の請求の趣旨は「障害認定日請求2級を求める。認められないときは事後重症請求2級を求める」である。

 そして予備的併合をした場合主位請求が認められると予備的請求の効力が失われます。とすると本件では主位請求が処分変更で認められていることから予備的請求は効力を失い審査対象が失われたことになります。

 しかし請求日3級に額改定され再審査請求は維持されています。とすると本件額改定処分を審査対象とすることができるかが争点ということとなります。

 裁定請求では事後重症3級が認定されていることを審査請求の理由としていること、及び障害認定日2級に処分変更され事後重症請求の効力は失われたが3級に額改定されている経緯から不服の趣旨は本件額改定に対する不服の趣旨と介しても矛盾はないとしている。

 すなわち保険者がはじめから障害認定日2級請求日3級へ額改定していたのならば請求の趣旨は請求日2級の認定を求めるとなっていたことから矛盾はなく、また事実関係が同一であることから問題となることはないと考えているものと思われる。

 したがって審査対象を本件額改定処分としている。

 しかし傷害等級2級は認定されずに請求は棄却されました。