今回は気管支ぜんそくで傷害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。
本件では初診日国民年金被保険者であることから傷害等級は1級と2級しかありません。そこで2級に該当するかが問題になります。
障害認定基準では慢性気管支ぜんそくの症状は適格なぜんそく治療を行いなおもその症状を示すものが対象とされている。
これは社会保障全体の中で見ると労働能力がある場合には仕事を探して生活を成り立たせる必要から雇用保険がある。これに対し労働能力が失われた場合には労働災害補償保険法から療養(補償)給付が、健康保険法から療養給付が支給される。その上で働けなくなった場合には労災からは休業(補償)給付が、健保からは傷病手当金が支給される。働けない状態が長期に及ぶ場合には労災からは傷病(補償)年金・障害補償給付が、国民年金法、厚生年金保険法から障害年金が支給されます。
あくまでも治すことが前提となっておりその中で労働能力が失われた場合に生活保障をするという構図となっている。
とすると慢性気管支ぜんそくの症状が治療により治まっている場合には障害年金の対象とはならないことが理解できるでしょう。
本件において吸入ステロイド剤の治療によりぜんそく発作は症発作で発作の頻度も一週に1~2日とされ、呼吸困難を常に認める程度ではなく酸素療法を必要とする程度にも至っていない。
とすると2級の「呼吸困難を常に認め酸素療法を必要とする程度」には該当しない。
したがって請求は棄却されました。