障害年金 舌癌(障害認定日)

 今回は舌癌で障害認定日が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 まず障害認定日とは障害の程度の認定を行う日をいい、初診日1年6月経過後、またはそれ以内で傷病が治った日(症状固定を含む)をいう。

 この傷病が治ったとは医学的に治ったときと、症状固定の場合の2つがある。かつては症状固定の場合には最終の状態にあることが要求されましたが現在ではこの要件は削除されています。これは認定が容易な方向に進んでいることを意味します。

 症状固定が問題になる多くの場合は症状固定の場合に当てはまるかが問題になることから認容される事例が少しは増えるのではないでしょうか。

 本件の経過を見てみると左舌縁に腫瘍を確認しその後気管切開・両顎部郭清・舌亜全摘・腹直筋による再建施行・胃瘻造設、その後再発追加治療を行っている。

 障害認定日とされる日は胃瘻造設の前であり、さらに舌癌の再発に対するつか治療が行われていることから症状固定と言うには無理がある。

 従って障害認定日とはされませんでした。

 本件では初診日1年6月後に再度障害年金の請求をすべきと考えるが、ひょっとしたらそれを待てない事情があったのかもしれません。

 通常短期の生活保障は健康保険法の傷病手当金で行いますが、国民健康保険法は任意規定となっています。

 社会保障の落とし穴といえるかもしれません。

 結局障害年金受給権は発生しませんでした。