今回は腰椎椎間板ヘルニア・両梨状筋症候群で額改定請求した事例について少し考えてみようと思います。
ここで障害年金の受給権者は障害の程度が増進した場合には額の改定請求をすることができます。
ポイントは認定されている傷病による障害が請求の範囲と言うことになります。
本件では肢体の障害が上肢・下肢など広範囲にわたっていることから肢体の機能の障害で判断されることになります。そして1級の例示には「四肢の機能に相当程度の障害を残すもの」が掲げられています。
詳細は省きますが診断書に記載された事実を当てはめてみますと障害等級1級の例示に当てはまることになります。
しかし診断書の傷病名は、腰椎椎間板ヘルニア・両梨状筋症候群のほかに脳脊髄液減少症・線維筋痛症が併記されています。
とすると診断書より腰椎椎間板ヘルニア・両梨状筋症候群の障害の状態のみ取り出して判断しなければならないことになります。
神経学的観点から見てみますと腰椎椎間板ヘルニアは第1から第5腰椎によって構成される腰椎を通過する腰随・腰随から分枝する腰随根神経によって支配される両下肢の機能障害でありその障害の範囲が上肢の機能に及ぶことはない。
次に梨状筋症候群は下半身に疼痛を生じる疾病であり上肢並びに上半身に及ぶことはない。
そうすると腰椎椎間板ヘルニア・両梨状筋症候群により生じる障害は「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」(障害等級2級)がせいぜいであり障害等級1級に認定されることはない。
本件では請求の方法を間違えていたことになる。
従って障害年金は障害等級2級のまま支給されている。