今回はうつ病型統合失調症で障害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。
本件では障害等級に該当するか否かを認定するために診断書が2通提出されています。
これらは1通が裁定請求時に提出された診断書1で、もう一つが審査請求時に提出された診断書2である。
この2通の診断書は同じカルテを元に作成されています。
診断書1は当時の主治医記載のカルテには不明な点が多く記載可能な範囲のみ記載したとされています。そこには現在の病状状態像の記載はなく、現症時の日常生活能力及び労働能力は「仕事は順調に進んでいる」とカルテに記載されているとする。
これに対し診断書2では「現在の病状及び状態像、日常生活能力の判定及び労働能力について記載されており、現症時の日常生活能力及び労働能力についてもイライラ、落ち着かない、気が沈む、物忘れ、不安感、倦怠感、不眠、頭痛などを認め、日常生活の多くで援助が必要な状態であった。就労していたが、仕事が停滞することが多く、実質的に労働困難な状態であった と記載されているのである。
原因はカルテの文字が独特で読むことができない点にあります。それ故カルテを作成した医師に解読を依頼したわけです。ただし解読されたカルテに加え請求人の陳述も診断書2の記載の資料としている。
とすると障害の状態は客観的かつ公正・公平に行われなければならないことから、診断書2では本件障害の状態を認定することはできないことになる。
結局障害認定日へ遡っての障害年金の支給はされませんでした。