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意思能力・行為能力・責任能力

精神疾患で障害年金を受給している方に時々聞かれるので少し述べてみます。

民法は私人間の法律関係を規律する法である。そして法律には法律効果と法律要件が定められている。この法律効果を発生させようとする行為を法律行為という。そして有効に法律行為をするためには自分の行為の結果を判断する事のできる能力が必要である。これが意思能力である。意思無能力は有効に法律行為をすることができないので無効になる。しかし無効を主張するためには法律行為の時に意思無能力であることを証明する必要がありこれは容易ではない。そこでそこで意思能力の完全でないものを意思無能力とみなし法律行為を取り消しうるものとみなす行為能力制度を定めた。これが未成年者であり成年被後見人・被保佐人・被補助人である。したがって精神疾患で障害年金を受給しているだけでは取り消しうることにはならない。もっとも意思無能力を証明する際の証拠とはなろう。

これ以外に意思の欠缺(心裡留保・虚偽表示・錯誤)は無効、瑕疵ある意思表示(詐欺・強迫)は取り消しうる意思表示となる。ここで意思表示は内心的効果意思・表示意思・表示行為で形成される。意思の欠缺(心裡留保)はたとえば内心的効果意思と表示意思とが異なることを知っていた場合をいう。瑕疵ある意思表示(詐欺)は内心的効果意思と表示意思と表示行為が異なることはないが偽網行為により影響を受けていた場合である。

では責任能力とは何であろうか。

責任能力とは自己の行為が違法なものとして法律上非難されるものであることを弁識する能力のことをいいます。不法行為損害賠償責任を負わせるための前提として必要になります。

この場合でも障害年金は直接には関係しては来ません。