【問題】 老齢年金の受給権者甲死亡後、配偶者である乙が未支給年金を請求した。乙は受給する前に死亡しているが乙の相続人である丙は未支給年金を請求できるか。
【規範定立】 老齢年金の受給権者が死亡した場合においてその死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときはその者の配偶者・子。父母・孫・祖父母・兄弟姉妹であって死亡の当時生計を同じくしていたものは自己の名で未支給の保険給付の支給を請求できる。
【あてはめ】 兵は乙の相続人であるが、本件未支給年金を請求できる遺族ではない。
未支給年金の請求権は相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたものであり死亡した受給権者が有していた年金給付にかかる請求権が別途相続の対象となるわけではない。
【結論】 したがって兵は請求できない。