【問題提起】 利害関係人と甲が事実上婚姻関係と同様の事情にあったと求めることはできるか。
【規範定立】 ここで事実上婚姻関係と同様の事情に合ったものと認められるためには ①両当事者間に婚姻共同体を形成し維持しようとする合意があること ②社会通念上婚姻共同体としての生活と認められる事実があること を満たさなければならない。
【あてはめ】 まず利害関係人と甲が同居していた事実をうかがわせる客観的資料はない。
それに対し日常の生活に要していたさまざまなものが請求人宅に存したことからすれば、甲は請求人と生計を同一にしていたと見るのが相当である。
そして甲が利害関係人と交際していたことは請求人に意図的に隠されていた。
とすると甲と利害関係人との間に婚姻共同体を形成しようとの合意があったとはいえず、社会通念上婚姻共同体としての生活の実態は認められない。
【結論】 したがって婚姻関係と同様の事情があったとは認められない。