[問題] Aは被保険者であった者が被保険者の資格が喪失した後に被保険者であった間に初診日がある傷病により当該起算日から起算して5年を経過する日前に死亡したとしてみなし300日とした額を基礎とする遺族厚生年金の支給を求めることはできるか。
すなわち初診日は被保険者期間にあったといえるか。
[論理] 「被保険者期間であった間に初診日がある傷病」とは被保険者である間にその疾病または負傷及びこれらに起因する疾病について初めて医師等の診療を受けた日のある傷病をいう。
そしてここの傷病につき発症日を的確に認定するに足りる資料を有しないことにかんがみ医学的見地から裁定期間の認定判断が画一的かつ公平なものとなるよう当該傷病につき医師等の診療を受けた日をもって障害厚生年金の支給にかかる規定の適用範囲を画することとしたものである。
本件において請求人の主張は傷病手当金が労務不能を理由として支給されていること及び厚年期間中に医師の診療を受け得なかったやむを得ない事情があったことを理由として当該傷病を発症して医師の診療を必要とする状態に至った時点において厚生年金保険の被保険者であったことが意思の事後的判断等により医学的に確認できた場合については初診日要件を満たすものと解するということである。
しかしそのような解釈は条文に反しまた画一的かつ公平な判断のために当該傷病につき医師等の診療を受けた日をもって保険給付の適用範囲を画する立法趣旨に照らし採用できない。
[解説] 上記の場合や被保険者が死亡した時障害厚生年金(1・2級)の受給権者が死亡したときは被保険者月数が300日に満たない時は300日とみなされる。
これに対し老齢厚生年金の受給権者や受給資格期日を満たしているときは実期間で計算されます。