法律家としての発想

 よく社労士試験は記憶が大切といわれます。ある意味正しいです。別項で試験勉強の方法としてテキストを理解し、記憶し、過去問に応用するといいました。実務についてしまうと条文は六法を引けばいいので細かいところは気にする必要はありません。しかし知っていることよりも知らないことがはるかに多いのが現実です。これをすべて記憶力で賄うことは不可能です。必要なのは基本的知識を使いこなし、わからないことがあれば迅速かつ確実に調べ上げることです。

 基本的知識には法律的知識と、医学的知識が障害年金支給申請には必要になります。

 法律には法律効果と法律要件があり、法律要件に当てはまる事実があって初めて法律効果が生じます。そして事実に争いがある場合には証拠により認定します。

 これを迅速かつ確実に行うために裁決例や判例を使って訓練するわけです。

 また、法律を使う前提として法律構成を行う必要があります。

 したがってやっていることはクライアントの置かれた立場から法律構成を導き出し、法律要件に事実を当てはめ、争いがあれば証拠により事実を認定することです。

 次に医学的知識は医学生・研修医レベルの医学書を読み込み、これのみでは理解不能なところも出てきますので一般的なものも読み込みます。

 依頼があれば正確な疾患名を聞き取り医学事典・薬学辞典・図書館・医学書専門書店で徹底的に調べます。

 そのため初めの電話ではピントのずれたことを言うことがありますが第一回面談時にはそれはなくなります。

そして医学的知識は障害年金支給申請では障害等級に該当するか否かを判断する事実ということになります。

 以上より法律家としての発想法は法律効果を発生させるための要件事実がすべてということになります。