今回は複合性局所疼痛症候群で障害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。
本件では肢体の障害用の診断書が提出され上肢の障害で判断されています。しかし関節可動域・筋力ともに問題はない。また、日常生活動作についても2カ所「やや不自由」がついているのみで特に問題はない。とすると肢体の障害では障害等級不該当ということになる。
障害認定基準では疼痛は原則として認定の対象とはならない。おそらく疼痛(痛み)は客観的に判断できないことから激痛の伴うことが明らかな場合に限定されたものと思われます。
裁決例では「請求人は右手背の浮腫、痛み、前腕の萎縮など障害の状態であったことがうかがわれるもののそれが具体的にいかなる障害障害の状態であったかについては判断することはできない」とされている。
すなわち「疼痛発作の頻度、強さ、持続時間、疼痛の原因となる他覚所見等」により判断されるが肢体の障害用の診断書にはこれらに対する詳しい記載がなかったことを意味する。
それゆえ本件では障害の状態を判断できず請求は棄却されています。
この問題に対処するためにはいかなる基準を使って判断するかを前提に最も適切な診断書と判断できる事実の記載をすることが必要となります。