今回は化学物質過敏症で障害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。
ここで化学物質過敏症は障害認定基準のその他の疾患による障害で判断されます。そしてその他の疾患による障害の程度は、全身状態、栄養状態、年齢、術後の経過、予後、原疾患の性質、進行状況等具体的な日常生活状況等を考慮し総合的に認定するものと死、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状があり、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを障害等級2級とする。
診断書記載の事実として自覚所見・他覚所見で多彩な症状が認められ、一般状態区分表はウ、医師の結論部分は「外出を含め日常生活に著しい支障があり、就労不能」とする。これは2級の例示に当てはまる。
保険者は医師に紹介をかけています。その回答には2点の記載があります。
一つは「原因物質の除去で症状が軽減するか、治癒する」とある。
もう一つは診断書を補足する参考データとしてのPSスケールで、PS7(身の回りのことはでき介助も不要であるが通常の社会生活や労働は不可能)とされている。
この回答を前提に考えると、過剰不要で身の回りのことができるのならば、日常生活が著しく制限されているとまではいえない。また、社会保障全体の中障害年金の役割を見てみると健康を取り戻す努力をした上で労働能力が失われている場合の生活保障であることから、改善治癒する手段があるのならばまずそれを行う必要が出てくる。
とすると障害等級2級には該当しないこととなる。
したがって障害基礎年金は支給されませんでした。