[問題] 傷病手当金の支給要件として傷病による療養のため労務不能といえるか。
[論理] 特段の事情のない限りその傷病の診療に当たった医師が当該傷病の性質・病状及び治療の経過等を踏まえた結果として労務不能か否かについてどのような医学的判断をしているかが重視されなければならない。
高級日は本来労働基準法上の労働時間及び休業の規定に基づく休業日であるが健康保険法上では労務不能と認められた場合には傷病手当金の支給対象となる。
保険者の高級日についての判断は全日休業(公休日を除く、以下同じ)した日に隣接した公休日は労務不能と認める一方、出勤した日の前後の公休日は労務不能とは認められないと解する。
本件において出勤した日の翌日が公休日である場合において仮に公休日でなければ出勤不可であったと解することは不自然とは言えない。
そして保険者が労務不能と認めなかったことを不適法かつ不当とまではいえない。
したがって請求人は労務不能であるとは判断できない。
[解説] 本件は療養のため労務不能といえるか否かを医師の医学的判断を基準としながらも公休日の両側が出勤可能ならば公休日も出勤可能であるという社会通念を前提に考えている。
とすると、公休日が労務不能であることは請求人が合理的な疑いを入れない程度に立証する必要が出てくるであろう。