まず法律には法律要件と法律効果が定められていおり、法律要件に当てはまる事実があって初めて法律効果が生じます。
そして事実に争いがあるときは証拠により認定します。
障害年金受給申請に引きなおすと、法律要件とは初診日要件・保険料納付要件・障害等級該当性に当てはまる事実が認められて初めて受給権が発生します。
そして申請が認められなかった場合はこの要件のいずれかが問題となります。
例外的事項として障害等級を判断するための障害認定基準は法的正当性がないことから国民年金法・厚生年金保険法に違反している場合は効力を落ちません。
今回は裁決例118を題材としてみたいと思います。
ご存知の通り知的障害は療育手帳を所持していれば初診日証明は不要となり20歳到達日が障害認定日となります。また20歳前障害ですので保険料納付要件も不要です。
ただし知的障害では障害認定日の時点で医師にかかっていない場合があり診断書が作成できない場合があります。
そのため障害認定日の障害の程度が判断できないことになります。
本件で争点は2つで、1つは障害認定日よりも数年前の診断書で認定日の障害の程度を認定できるかです。もう1つはその診断書で1級が認定できるかです。
そしていずれも証拠となるものは認定日の数年前の診断書しかないのでこれを証拠に障害の程度を認定することです。
では第一の争点ですが障害の程度はそれを判断した日の記録が一番正確です。
しかしそれを判断した日でなくとも傷病の性質から障害の程度が変化しない、又は不可逆的に進行する事情が明確であれば必ずしも障害認定日に診断しなくとも判断はできます。
本件ではライソゾーム病と診断されその不可逆的性格から数年前の診断書でも判断できるとされています。
次に障害等級に該当するかですが、現在等級判定ガイドラインが出ていますので、これに診断書記載の事実を当てはめると等級の目安では1級となります。
そして考慮すべき要素等を総合的に判断することになります。
結論として審査請求・再審査請求では争点となる要件事実を証拠により立証するという作業を行うことになります。